就業規則を変更した際の届出に係る適切な手続き
改正育児・介護休業法が2022年4月より施行されることに伴い、今後、就業規則(育児.介護休業規程)を見直し、労働基準監督署へ届け出ることになるでしょう。そこで今回は、就業規則を変更した際の手続きに関するよくある質問をとり上げます。
就業規則を変更した際の意見聴取
従業員数10名以上の事業所で就業規則を変更した際には、パートタイマー等の非正規従業員を含む全従業員の過半数の代表者(以下 「過半数代表者」という)の意見を聴き、所轄労働基準監督署へ届出を行う必要があります。
過半数代表者には、あ<までも意見を聴くことが求められており、届出する就業規則の内容に同意をとる必要まではありません。書面(意見書)に「異議なし」や「○○の変更について改善を望みます」というように意見を書くことを求め、就業規則に添付して届け出ます。
また、意見書に改正内容等について異議がある意見が書いてあったとしても届出においては問題なく、就業規則の変更の手続きにおいて、意見を聴くというプロセスが法令で定められています。なお、賃金を引き下げるといった従業員にとって不利益な労働条件の取扱いに変更する際は、従業員と会社の個別の合意等の適切な手続きが必要であり、その実務については社会保険労務士等の専門家にご相談いただくとよいでしょう。
パートタイム就業規則の意見聴取
正社員とパートタイマーの就業規則を別に作成しており、パートタイム就業規則を変更し届出を行う際には、正社員の就業規則と同様に、過半数代表者の意見を聴くことになっています。過半数代表者はパートタイマーである必要はなく、また、パートタイマーの中から過半数代表者を選ぶ必要もありません。ただし、パートタイマーの過半数代表者の意見を聴くことが望ましいとされています。
過半数代表者の選出
過半数代表者は、以下のいずれにも該当する必要があります。
- ①労働基準法第41 条第2号に規定する監督または管理の地位にある者でないこと
- ②就業規則の変更の際に、会社から意見を聴取される者を選出することを明らかにして実施する投票、挙手等の方法によって選出された者であること
過半数代表者を選ぶ際の母数となる従業員数には、管理監督者やパートタイマー等の非正規従業員も含まれます。正社員の過半数ではないことに留意しましょう。
過半数代表者が総務担当者になっているなど、代表者の選出が適切に行われていないケースもあるようで過半数代表者の選出が適正に行われておらず変更した就業規則が無効であるといったトラブルにつながることも考えられます。適正な選出方法により過半数代表者を選出しましょう。